個人事業税とは|対象の業種・税率・290万円の事業主控除・納める時期
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個人事業税は、個人で事業を営む人のうち、地方税法で定められた業種(法定業種)に当たる事業をしている人にかかる都道府県の税金である。前年の事業の所得から年290万円の事業主控除などを差し引いた額に、業種ごとの税率をかけて計算する。この記事では、対象になる業種、第1種・第2種・第3種の税率、事業主控除、税額の計算、納める時期、申告の要否、法人にしたときの扱いを、地方税法と東京都主税局の記載をもとに整理する。
個人事業税は法定業種を営む個人にかかる都道府県税
個人事業税は、都道府県が課す地方税で、都道府県内に事務所や事業所を設けて事業を行う個人のうち、地方税法で定められた業種に当たる事業をしている人が納める。所得税や住民税とは別の税金で、所得税の確定申告をしていても、個人事業税は都道府県から別に課税される。会社員の給与や、法定業種に当たらない所得にはかからない。
対象になるのは法定業種に当たる事業に限られる。地方税法第72条の2は、課税の対象になる事業を第1種事業・第2種事業・第3種事業に分けて定めており、東京都主税局の案内によると、これらを合わせた法定業種は全部で70業種ある。自分の事業がこの法定業種に当たるかどうかで、課税されるかが決まる。
対象になる業種は3つの区分に分かれる
法定業種は、地方税法で第1種から第3種までの区分に分けられている。東京都主税局の案内では、区分ごとの業種数は次のとおりである。
- 第1種事業(37業種)は、物品販売業・製造業・飲食店業・不動産貸付業・運送業など
- 第2種事業(3業種)は、畜産業・水産業・薪炭製造業
- 第3種事業(30業種)は、医業・弁護士業・税理士業・理容業・美容業・あん摩マッサージなど
多くの事業はこのいずれかに当たる。一方で、どの法定業種にも当たらない事業は、個人事業税の課税対象にならない。自分の事業がどの業種に当たるか(あるいは当たらないか)の判断は都道府県が行うため、迷う場合は所管の都道府県税事務所に確認する。
税率は業種の区分で3%・4%・5%に分かれる
個人事業税の税率は、業種の区分によって決まっている。東京都主税局の案内と地方税法第72条の49の17によると、第1種事業は5%、第2種事業は4%、第3種事業は原則5%である。第3種事業のうち、あん摩・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業と、装蹄師業は3%になる。
税率は業種で決まるため、同じ所得でも、どの区分の事業かによって税額が変わる。複数の事業を営んでいて区分が異なる場合は、それぞれの所得に応じた税率で計算する。
所得から年290万円の事業主控除を差し引く
個人事業税には、所得から差し引く事業主控除がある。地方税法第72条の49の14は、事業主控除の額を年290万円と定めている。前年の事業の所得が290万円以下であれば、課税標準が残らないため、個人事業税はかからない。
この290万円は、1年を通して事業を営んだ場合の額である。東京都主税局の案内によると、営業期間が1年に満たない場合は、事業主控除が営業した月数に応じた月割りの額になる。年の途中で開業した年や廃業した年は、この月割り額で計算する。
税額は所得から各種控除を引いた額に税率をかけて決まる
個人事業税の税額は、前年の事業の所得から事業主控除などの各種控除を差し引いた課税標準に、業種ごとの税率をかけて計算する。所得の基になるのは、所得税の確定申告書や青色申告決算書に書いた事業所得・不動産所得の金額である(地方税法第72条の49の12)。
ここで注意するのは青色申告特別控除の扱いである。所得税では最高65万円の青色申告特別控除を差し引けるが、個人事業税にはこの控除がない。東京都主税局の案内でも、所得税で青色申告特別控除を受けている場合は、その額を所得に加算し直すとしている。所得税の所得よりも、個人事業税の課税標準のほうが大きくなることがあるのはこのためである。青色申告の特別控除がどの税金に効くかは、所得税と個人事業税で分けて考える。
納めるのは原則として8月と11月の年2回
個人事業税は、自分で申告して納めるのではなく、都道府県から送られてくる納税通知書で納める。東京都主税局の案内と地方税法第72条の51によると、納期は原則として年2回で、第1期が8月、第2期が11月である。東京都の場合、第1期の納期限は8月31日、第2期は11月30日(いずれも休日のときは翌日)となっている。
8月に都道府県税事務所から納税通知書が届くので、そこに書かれた税額を2回に分けて納める。所得税の確定申告が終わってしばらく経ってから課税されるため、納める分の資金を手元に残しておく。
確定申告をしていれば個人事業税の申告は要らない
個人事業税にも申告の制度があるが、所得税の確定申告や住民税の申告をしていれば、個人事業税のための申告は改めて必要ない。地方税法第72条の55は、これらの申告をした人は個人事業税の申告をしたものとみなす旨を定めている。確定申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を書いておけばよい。どの住所を納税地にするかは確定申告の住所・納税地の考え方とあわせて整理しておく。
ただし、年の途中で事業をやめた場合は別に申告が要る。廃止の日から1か月以内(死亡による廃止は4か月以内)に、都道府県へ申告する。
法人にすると個人事業税はかからなくなる
法人になると、事業の主体が会社に変わるため、個人には事業所得としての個人事業税はかからなくなる。代わりに、会社には法人事業税がかかり、赤字でも法人住民税の均等割などの負担が生じる。個人事業税がなくなること自体は法人化の一つの要素だが、法人には別の税や社会保険の負担が増えるため、それだけで損得は決まらない。
個人のままか法人にするかは、所得税・住民税・個人事業税・消費税・社会保険の負担を合わせた手取りの損益分岐で考える。移る時期の目安と手続きの流れは個人事業主が法人化するタイミングにまとめた。法人の本店に使える住所はバーチャルオフィス比較で選べる。
よくある質問
所得がいくらまでなら個人事業税はかかりませんか。
事業主控除が年290万円あるため、前年の事業の所得が290万円以下であれば課税標準が残らず、個人事業税はかからない。営業期間が1年に満たない年は、事業主控除が月割りになる。
個人事業税の税率は何%ですか。
業種の区分によって決まり、第1種事業は5%、第2種事業は4%、第3種事業は原則5%である。第3種のうち、あん摩・マッサージなどの医業に類する事業と装蹄師業は3%になる(地方税法第72条の49の17)。
フリーランスでも個人事業税はかかりますか。
かかるかどうかは、その仕事が法定業種に当たるかで決まる。どの法定業種にも当たらない事業は課税対象にならないが、自分の事業がどの業種に当たるかの判断は都道府県が行うため、迷う場合は所管の都道府県税事務所に確認する。
個人事業税はいつ納めますか。
都道府県から送られる納税通知書で、原則として8月と11月の年2回に分けて納める。東京都では第1期が8月31日、第2期が11月30日が納期限になる(地方税法第72条の51)。
個人事業税の申告は自分でするのですか。
所得税の確定申告や住民税の申告をしていれば、個人事業税のための申告は改めて必要ない(地方税法第72条の55)。ただし年の途中で廃業した場合は、廃止の日から1か月以内に別に申告する。
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