法人の青色申告とは|白色との違い・承認申請の期限・ひとり法人が使える特典
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会社をつくると、法人税の申告を青色申告でするか白色申告でするかを選ぶことになる。青色申告は、税務署の承認を受けて定められた帳簿を備える代わりに、赤字を翌期以降にくり越せるなどの特典を受けられる申告のしかたである。ひとり法人でも、設立の早い時期に承認申請を出しておけば使える。この記事では、青色申告と白色申告の違い、個人事業主の青色申告との違い、承認申請の期限、受けられるおもな特典を、法人税法と国税庁の記載をもとに整理する。
青色申告は「承認を受けて帳簿を備える」申告のしかた
法人税の申告には、青色申告と白色申告の2つがある。青色申告をするには、あらかじめ税務署長の承認を受け、定められた帳簿書類を備えて取引を記録・保存する必要がある。白色申告でも帳簿の保存は求められるが、青色申告は承認を受けて帳簿を整えることで、あとで挙げる特典を受けられる点が違う。
青色申告の帳簿については、法人税法第126条が、青色申告の承認を受けた法人は帳簿書類を備え付けて取引を記録し、保存しなければならないと定めている。帳簿を適切に備えていないと、承認が取り消されることがある。
法人の青色申告には、個人の「青色申告特別控除」はない
個人事業主の青色申告には、所得から最高65万円を差し引ける青色申告特別控除がある。この控除は個人の制度で、法人の青色申告にはない。「青色申告にすると65万円引ける」という説明は個人事業主の話であり、法人ではあてはまらない。
法人の青色申告の利点は、所得から定額を引くことではなく、赤字のくり越しや資産を早く経費にできる特例など、別のかたちで現れる。個人と法人のどちらで事業をするかを決める材料は個人事業主とひとり法人、手取りの損益分岐で扱っている。
承認申請の期限|新設法人は「設立から3か月」か「1期目の終わり」の早いほう
青色申告をするには、承認申請書を納税地の所轄税務署長に出す。会社を新しくつくった場合の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、設立1期目の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までである(法人税法第122条)。
設立1期目が3か月より短いと、1期目の終了の日のほうが先に来るため、そちらが期限になる。「設立から3か月以内」とだけ覚えていると、決算が早く来る会社では間に合わないことがあるため、1期目の長さとあわせて確かめておく。決算月の決め方は決算月の決め方で扱っている。
この期限までに申請を出さないと、設立1期目は白色申告になり、1期目の赤字を青色申告の特典でくり越せなくなる。設立後に出す届出の全体像と期限は設立後に出す届出の一覧と期限でまとめている。
期限までに通知がなければ承認とみなされる(みなし承認)
承認申請を出すと、税務署長が承認か却下かを判断する。申請した事業年度の終了の日(中間申告書を提出すべき法人などは別に定められた日)までに承認・却下の通知がないときは、その日に承認があったものとみなされる(法人税法第125条)。承認を知らせる通知が届かなくても、期限までに却下されなければ青色申告ができる。
特典1|赤字を10年くり越して、黒字の年の税金を減らせる
青色申告のいちばん大きな特典は、赤字(欠損金)のくり越しである。国税庁のタックスアンサー「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」は、各事業年度開始の日の前10年以内に開始した事業年度に生じた欠損金額を、その後の黒字から差し引けると説明している(法人税法第57条)。平成30年4月1日より前に開始した事業年度に生じた欠損金のくり越し期間は9年である。
これを使うには、欠損金が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を出し、その後も続けて確定申告書を出していることが要る。資本金1億円以下などの中小法人は黒字の年の所得の金額まで全額を差し引けるが、それ以外の大きな法人は差し引ける額が控除前の所得の50%までに制限される。
設立したばかりで初年度が赤字になりやすいひとり法人ほど、1期目から青色申告にして赤字をくり越せるようにしておく意味が大きい。
特典2|中小法人は前年の黒字にさかのぼって還付を受けられる
赤字を前の年にさかのぼらせる方法もある。国税庁「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」と法人税法第80条は、前の事業年度に黒字で法人税を納め、その翌期に赤字になった場合に、赤字を前の年の黒字と相殺して、納めた法人税の一部の還付を受けられる仕組みを定めている。これも青色申告書を出していることが前提になる。
この繰戻し還付は、いまは資本金1億円以下の中小企業者などに対象が絞られている。対象になるかどうかや請求のしかたは、国税庁の案内で自分の会社の区分を確かめる。
特典3|少額の資産を一度に経費にできる特例など
青色申告の中小企業者などは、取得価額が一定額未満の減価償却資産を、買った年に一度に経費にできる特例を使える。通常は資産ごとに耐用年数で分けて少しずつ経費にするところを、まとめて落とせる。金額の区分と年間の上限は備品を一度に経費にできるのはいくらまでで扱っている。
このほか、青色申告をしている法人の所得を税務署があとから直す(更正する)ときは、更正の通知書にその理由を書かなければならないとされている。理由がわかることで、内容に納得できないときに不服を申し立てやすくなる。
一度承認されても、申告しない年があると取り消される
青色申告は一度承認されれば続くが、帳簿を備えていなかったり、申告の期限を守らなかったりすると、承認が取り消されることがある。欠損金のくり越しも、確定申告書を続けて出していることが要件になっている。赤字でも黒字でも、毎期きちんと申告を続けることが、特典を保つ条件になる。
毎期の申告は会計ソフトを使うと進めやすい。決算と申告をどこまで自分でできるかは法人の決算は自分でできるかで整理している。
個人のまま青色申告するか、法人にするか
個人事業主にも法人にも青色申告があるが、受けられる特典は別物である。個人は最高65万円の特別控除が中心で、法人は赤字のくり越しや各種の特例が中心になる。どちらが有利かは、利益の大きさや消費税、社会保険の負担まで含めて変わる。
法人化を考えるなら、設立の手続きや住所の準備とあわせて進めることになる。判断の目安は個人事業主が法人化するタイミング、登記に使える住所はバーチャルオフィス比較で確認できる。
よくある質問
ひとり法人でも青色申告にしたほうがよいですか。
赤字を10年くり越せるなどの特典があり、初年度が赤字になりやすいひとり法人ほど意味が大きい。承認申請には期限があるため、設立の早い時期に出しておく。
青色申告にすると65万円の控除が受けられますか。
最高65万円の青色申告特別控除は個人事業主の制度で、法人にはない。法人の青色申告の利点は、赤字のくり越しや資産を早く経費にできる特例など、別のかたちで現れる。
承認申請はいつまでに出せばよいですか。
新しくつくった会社は、設立の日以後3か月を経過した日と、設立1期目の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに、納税地の所轄税務署長へ出す(法人税法第122条)。
申請したのに承認の通知が来ません。青色申告できますか。
申請した事業年度の終了の日までに承認・却下の通知がなければ、その日に承認があったものとみなされる(法人税法第125条)。却下されていなければ青色申告ができる。
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