バーチャルオフィス
バーチャルオフィス比較|登記できる最安は月990円、広告の「660円」では登記できない
主要4社の公式料金表をそのまま並べ直したところ、各社が一番大きく出している最安値は、そのほとんどが法人登記に使えないプランでした。登記するつもりで最安値を基準に比べていると、順位が丸ごと入れ替わります。実際の数字で確認します。あわせて、住所が東京でなくてよい場合に成立する月額0円で登記できる選択肢も最後に扱います。
広告の最安値では、登記できない
バーチャルオフィスの比較で最初に目に入るのは月額です。GMOオフィスサポートの660円、レゾナンスの550円、DMMバーチャルオフィスの660円。どれも安い。ところがこの3つには共通点があります。いずれも法人登記に使えません。
| サービス | 広告で見る最安 | そのプランで登記 | 登記できる最安 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| レゾナンス株式会社ゼニス | 550円 ネットショップ住所貸しプラン |
できない | 990円 バーチャルオフィスコース |
+440円 |
| GMOオフィスサポートGMOオフィスサポート株式会社 | 660円 転送なしプラン |
できない | 1,650円 月1転送プラン |
+990円 |
| DMMバーチャルオフィス合同会社DMM.com | 660円 ミニマムプラン(年間契約のみ) |
できない | 2,530円 ベーシックプラン(年間契約) |
+1,870円 |
| Karigo株式会社Karigo | 4,700円 ホワイトプラン |
できる | 4,700円 ホワイトプラン |
— |
DMMバーチャルオフィスの公式FAQには「ベーシックプランは登記にご利用可能です。なお、ミニマムプランは登記にご利用いただけません。」と明記されています。GMOオフィスサポートは料金ページで転送なしプランのみ登記の対象外、レゾナンスの550円は「ネットショップ住所貸しプラン」で登記の項目がありません。
つまり登記が目的なら、最初から見るべき列が違います。レゾナンスは990円、GMOオフィスサポートは1,650円、DMMバーチャルオフィスは2,530円から。この時点でDMMバーチャルオフィスの「660円」とレゾナンスの「990円」を並べて比べる意味はなくなります。
なぜこうなるかというと、住所を貸すことと、その住所を登記簿に載せることは、提供側にとってコストがまったく違うからです。登記された住所には法的な通知が届きます。訴状も、税務署からの書類も、債権者からの督促も。受け取って保管し、契約者に渡す義務が生じる。だから各社とも、登記できるプランには郵便物の受け取りと転送を必ずセットにしています。登記できるプランが高いのではなく、郵便を扱わないプランが安いだけ、と読むのが正確です。
登記できるプランだけを並べる
比較の土俵を「登記できるプラン」に揃えて、条件を全部横に並べます。
| サービス | 月額 | 入会金 | 保証金 | 郵便転送 | 拠点 |
|---|---|---|---|---|---|
| レゾナンス | 990円 | 5,500円 | 1,000円 | 週1回 または 月1回(選択) | 14 |
| GMOオフィスサポート | 1,650円 | 0円 | 0円 | 月1回 / 隔週 / 週1回(プランで選ぶ) | 22 |
| DMMバーチャルオフィス | 2,530円 | 5,500円 | 0円 | 週1回(水曜日) | 16 |
| Karigo | 4,700円 | 5,500円 | 記載なし | 公式の料金ページに頻度の記載なし | 60+ |
ここで効いてくるのが入会金と保証金です。月額だけ見ればレゾナンスの990円が最安ですが、レゾナンスは入会金5,500円とデポジット1,000円〜が初期にかかります。一方GMOオフィスサポートは入会金0円・保証金0円。月額の差は月660円ですが、初期費用の差は5,500円あります。
この2つがどこで逆転するのか、期間で割ってみます。
初年度の総額で見る
| サービス | 月額×12 | 入会金 | 初年度総額 | 最安との差 |
|---|---|---|---|---|
| ▸ レゾナンス | 11,880円 | 5,500円 | 17,380円 | — |
| GMOオフィスサポート | 19,800円 | 0円 | 19,800円 | +2,420円 |
| DMMバーチャルオフィス | 30,360円 | 5,500円 | 35,860円 | +18,480円 |
| Karigo | 56,400円 | 5,500円 | 61,900円 | +44,520円 |
12ヶ月使う前提なら、レゾナンスが17,380円で最も安く、GMOオフィスサポートとの差は2,420円。入会金5,500円を払っても、月額の差(月660円×12ヶ月=7,920円)が上回るため、1年使うならレゾナンスが勝ちます。
逆算すると、レゾナンスがGMOオフィスサポートを逆転するのは9ヶ月目です。5,500円 ÷ 660円 = 8.3ヶ月。8ヶ月以内にやめる可能性があるならGMOオフィスサポート、1年以上続ける前提ならレゾナンス。これが月額と初期費用の両方を入れたときの正しい分岐点です。
レゾナンスのデポジット1,000円〜は解約時に返金されると公式に記載があります。返ってくる金なので、上の総額には入れていません。ただし契約時には実際に出ていくので、手元の現金で見るなら18,380円を想定してください。
やめるときに捨てる金
もうひとつ、比較記事があまり書かない軸があります。合わなかったときに、いくら捨てることになるかです。
バーチャルオフィスは、使ってみないと分からない部分が残ります。郵便の転送がどれくらい遅れるか、問い合わせの返事が来るか、登記後に取引先から住所を調べられたときに何が出てくるか。これらは契約前には確かめられません。そして登記住所を変えるには、法務局への変更登記(登録免許税3万円、管轄が変わる場合は6万円)がかかります。バーチャルオフィス選びの失敗は、月額ではなく登記のやり直しコストで効いてくるということです。
だとすれば、最初の数ヶ月は「試用期間」と割り切って、降りやすさを優先する選び方が成立します。
| サービス | 3ヶ月分の月額 | 戻らない入会金 | 捨てる合計 |
|---|---|---|---|
| GMOオフィスサポート | 4,950円 | 0円 | 4,950円 |
| レゾナンス | 2,970円 | 5,500円 | 8,470円 |
| DMMバーチャルオフィス | 7,590円 | 5,500円 | 13,090円 |
| Karigo | 14,100円 | 5,500円 | 19,600円 |
3ヶ月で撤退する場合、GMOオフィスサポートは4,950円しか捨てません。レゾナンスは8,470円。差は3,520円です。1年使えばレゾナンスが安く、3ヶ月でやめるならGMOオフィスサポートが安い。どちらが正解かは、続ける確信がどれだけあるかで決まります。
登記する住所を決めるのは、定款を作る前です。ここで迷って止まると設立全体が止まります。確信が持てないなら、入会金0円のところで始めて、事業が固まってから乗り換えるほうが、決めきれずに止まるより早く進みます。ただし前述の通り、登記後の住所変更には登録免許税がかかるので、乗り換えるなら登記前に。
前提を外すと答えが変わる:月0円で登記できる住所
ここまでの比較は「東京(または主要都市)の住所を借りる」という前提で組んでいます。この前提を外すと、金額の桁が変わります。
一般社団法人和文化推進協会が運営する京都すざくスタジオ(0円バーチャルオフィス)は、公式サイト上で「副業・起業支援プラン」を月額0円と明示しています。通常プランでも公式表記は月額500円(税別)。そして公式のよくある質問に「はい、法人登記も可能です」と書かれています。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 月額 | 0円(副業・起業支援プラン)/公式表記は月額500円(税別)(通常プラン) |
| 法人登記 | 可能。法人の場合は代表権を持つ人が契約者になる必要があると明記 |
| 住所 | 〒600-8846 京都府京都市下京区朱雀宝蔵町44番地 協栄ビル2階 |
| 郵便物 | 週1回、1週間分をまとめて転送。受取時にLINEで通知され、転送か廃棄を選べる |
| 電話 | 着信を録音し、その音声データをLINEで転送(集合ダイヤル方式) |
| 運営 | 一般社団法人和文化推進協会(非営利法人) |
なぜ0円で成立するのか。運営が非営利法人で、京都市内への企業誘致を目的に提供しているためです。営利目的のバーチャルオフィス事業者とは原資が違う、という構造になっています。
初期費用、郵便転送の実費、0円プランの適用条件、解約条件については、公式ページに記載が見当たりませんでした。とくに0円プランがどういう条件で適用されるのかが公開されていないため、申し込み前に直接確認してください。料金が0円であることと、誰でも0円で使えることは別の話です。
使える場面ははっきりしています。取引先や顧客が住所を見て判断しない事業――受託開発、オンライン完結のサービス、副業として始める段階の法人なら、東京の住所に年間2万円払う理由はあまりありません。逆に、都心の住所そのものが信用の一部になる業種(コンサルティング、士業、対面営業がある事業)では、京都の住所は選びにくい。ここは金額ではなく事業の性質で決まります。
条件別、どれを選ぶか
登記できるプランの月額が4社で最安。初年度総額17,380円も最安です。浜松町・青山・銀座・渋谷など14拠点から選べます。入会金5,500円は9ヶ月目までに月額差で回収できます。
このサイトの運営者が関与する法人2社が、実際にここの住所で登記しています。4社のうち中身を知っているのはここだけです。
入会金0円・保証金0円で、やめるときに捨てる金がありません。拠点も22ヶ所と最多。8ヶ月以内に撤退する可能性があるなら、総額でもこちらが安くなります。
全国60拠点以上。他3社は主要都市に限られるため、それ以外の地域の住所が要るなら実質的に選択肢がここしかないことがあります。ただし月額は他社の3〜5倍で、都内の住所でよいなら割高です。
非営利法人が京都市への企業誘致として提供しているため、月額0円のプランがあります。法人登記も可能と公式に明記。ただし住所は京都市で、0円プランの適用条件は公開されていないため事前確認が必要です。
沖縄と仙台は他3社にない拠点です。ただし登記できるのはベーシックプランのみで、年間契約の一括前払いが前提。単月契約だと5,500円まで上がります。
1年続ける前提ならレゾナンス。登記できる最安の月990円で、初年度17,380円です。
入会金0円キャンペーンの適用条件は時期によって変わります。申し込み前に公式ページで現在の条件を確認してください。
4社のうち、実際に使っているのは1社だけです
比較表は公開情報だけで作れますが、使ってみないと分からないことは残ります。そこを混ぜると表全体が信用できなくなるので、分けて書きます。
このサイトの運営者が関与する法人2社は、レゾナンスの住所で登記しています。そのうえで言えることは2つです。
- 登記は問題なく通りました。2社とも。バーチャルオフィスの住所で登記できるかという点は、少なくともここでは確認済みです。
- 法人口座も開設できています。2社ともドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)です。「バーチャルオフィスだと銀行口座が作れない」という話がよく出ますが、この組み合わせでは成立しませんでした。
逆に、残り3社については公開情報しか持っていません。GMOオフィスサポート・DMMバーチャルオフィス・Karigoの評価は、公式サイトに書かれている条件を並べたものであって、使った感想ではありません。この記事で「使ってみた」と読める書き方をしていないのはそのためです。
公式サイトに書かれていないこと
比較表を作る過程で、公式の料金ページだけでは埋まらなかった項目があります。ここは推測で埋めず、そのまま書いておきます。
- Karigoの保証金と郵便転送の頻度:公式の料金ページに記載がありません。「店舗により料金が異なります」とあるため、利用したい拠点を決めてから個別に確認が必要です。
- DMMバーチャルオフィスのプラン別の登記可否:料金ページの比較表では、ベーシットとミニマムの両方に「法人登記」の項目が並んでいて、○×で区別されていません。登記不可であることは公式FAQ側にのみ書かれています。料金表だけを見て申し込むと間違えます。
- レゾナンスの入会金0円キャンペーンの条件:トップページには「実施中」とだけあり、期間と条件は別ページに分かれています。
- 審査の基準:4社とも申込時に審査があります。通過条件は公開されていません。
また、バーチャルオフィスの住所では取得できない許認可があります。宅地建物取引業免許は事務所の実体が要件のため取得できません。古物商や人材派遣業も、実体のある事務所を求められて断られることがあります。これらの事業を予定しているなら、そもそもバーチャルオフィスは選択肢から外れます。
まとめ
- 広告で見る最安値(550〜660円)は、Karigoを除きすべて登記に使えない。土俵を揃えてから比べる。
- 登記できる最安はレゾナンスの月990円、初年度総額17,380円。
- GMOオフィスサポートは入会金・保証金が0円。8ヶ月以内にやめるなら総額でも安い。
- 失敗のコストは月額ではなく、登記のやり直し(登録免許税3万円〜)で出る。住所は定款を作る前に決める。
- 地方の住所が要るならKarigo、沖縄・仙台ならDMMバーチャルオフィス。それ以外は上の2社で足りる。
- 住所が東京でなくてよいなら、月額0円で登記できる選択肢がある(京都市・非営利法人の運営)。ただし0円プランの適用条件は公開されていない。
出典
- レゾナンス 公式サイト ― https://virtualoffice-resonance.jp/(2026年9月21日確認)
- GMOオフィスサポート 公式サイト ― https://www.gmo-office.com/(2026年9月21日確認)
- DMMバーチャルオフィス 公式サイト ― https://virtualoffice.dmm.com/(2026年9月21日確認)
- Karigo 公式サイト ― https://karigo.net/(2026年9月21日確認)
- DMMバーチャルオフィス 公式FAQ「バーチャルオフィスに関して」(2026年9月21日確認)
- 京都すざくスタジオ(0円バーチャルオフィス) 公式サイト ― https://studio.suzaku.or.jp/(2026年9月21日確認)
- 登録免許税の額は登録免許税法別表第一による(本店移転 1件につき3万円、管轄外への移転は新旧各3万円)