Solo Inc. ひとり法人の実務ノート

バーチャルオフィス

バーチャルオフィス比較|登記できる最安は月990円、広告の「660円」では登記できない

主要4社の公式料金表をそのまま並べ直したところ、各社が一番大きく出している最安値は、そのほとんどが法人登記に使えないプランでした。登記するつもりで最安値を基準に比べていると、順位が丸ごと入れ替わります。実際の数字で確認します。あわせて、住所が東京でなくてよい場合に成立する月額0円で登記できる選択肢も最後に扱います。

公式サイト・公式FAQの記載を2026年9月21日に確認/金額はすべて税込/比較対象:レゾナンス・GMOオフィスサポート・DMMバーチャルオフィス・Karigo

広告の最安値では、登記できない

バーチャルオフィスの比較で最初に目に入るのは月額です。GMOオフィスサポートの660円、レゾナンスの550円、DMMバーチャルオフィスの660円。どれも安い。ところがこの3つには共通点があります。いずれも法人登記に使えません。

各社公式サイトの料金表より(2026年9月21日確認)。「広告で見る最安」は各社が最も安く打ち出しているプラン。
サービス広告で見る最安そのプランで登記登記できる最安差額
レゾナンス株式会社ゼニス 550円
ネットショップ住所貸しプラン
できない 990円
バーチャルオフィスコース
+440円
GMOオフィスサポートGMOオフィスサポート株式会社 660円
転送なしプラン
できない 1,650円
月1転送プラン
+990円
DMMバーチャルオフィス合同会社DMM.com 660円
ミニマムプラン(年間契約のみ)
できない 2,530円
ベーシックプラン(年間契約)
+1,870円
Karigo株式会社Karigo 4,700円
ホワイトプラン
できる 4,700円
ホワイトプラン
確認した一次情報

DMMバーチャルオフィスの公式FAQには「ベーシックプランは登記にご利用可能です。なお、ミニマムプランは登記にご利用いただけません。」と明記されています。GMOオフィスサポートは料金ページで転送なしプランのみ登記の対象外、レゾナンスの550円は「ネットショップ住所貸しプラン」で登記の項目がありません。

つまり登記が目的なら、最初から見るべき列が違います。レゾナンスは990円、GMOオフィスサポートは1,650円、DMMバーチャルオフィスは2,530円から。この時点でDMMバーチャルオフィスの「660円」とレゾナンスの「990円」を並べて比べる意味はなくなります。

なぜこうなるかというと、住所を貸すことと、その住所を登記簿に載せることは、提供側にとってコストがまったく違うからです。登記された住所には法的な通知が届きます。訴状も、税務署からの書類も、債権者からの督促も。受け取って保管し、契約者に渡す義務が生じる。だから各社とも、登記できるプランには郵便物の受け取りと転送を必ずセットにしています。登記できるプランが高いのではなく、郵便を扱わないプランが安いだけ、と読むのが正確です。

登記できるプランだけを並べる

比較の土俵を「登記できるプラン」に揃えて、条件を全部横に並べます。

登記に使えるプランだけを横に並べたもの(2026年9月21日確認)。金額はすべて税込。
サービス月額入会金保証金郵便転送拠点
レゾナンス 990円 5,500円 1,000円 週1回 または 月1回(選択) 14
GMOオフィスサポート 1,650円 0円 0円 月1回 / 隔週 / 週1回(プランで選ぶ) 22
DMMバーチャルオフィス 2,530円 5,500円 0円 週1回(水曜日) 16
Karigo 4,700円 5,500円 記載なし 公式の料金ページに頻度の記載なし 60+

ここで効いてくるのが入会金と保証金です。月額だけ見ればレゾナンスの990円が最安ですが、レゾナンスは入会金5,500円とデポジット1,000円〜が初期にかかります。一方GMOオフィスサポートは入会金0円・保証金0円。月額の差は月660円ですが、初期費用の差は5,500円あります。

この2つがどこで逆転するのか、期間で割ってみます。

初年度の総額で見る

登記できる最安プランを12ヶ月使った場合の初年度総額。保証金は解約時に返るため別建て。
サービス月額×12入会金初年度総額最安との差
レゾナンス 11,880円 5,500円 17,380円
GMOオフィスサポート 19,800円 0円 19,800円 +2,420円
DMMバーチャルオフィス 30,360円 5,500円 35,860円 +18,480円
Karigo 56,400円 5,500円 61,900円 +44,520円

12ヶ月使う前提なら、レゾナンスが17,380円で最も安く、GMOオフィスサポートとの差は2,420円。入会金5,500円を払っても、月額の差(月660円×12ヶ月=7,920円)が上回るため、1年使うならレゾナンスが勝ちます。

逆算すると、レゾナンスがGMOオフィスサポートを逆転するのは9ヶ月目です。5,500円 ÷ 660円 = 8.3ヶ月。8ヶ月以内にやめる可能性があるならGMOオフィスサポート、1年以上続ける前提ならレゾナンス。これが月額と初期費用の両方を入れたときの正しい分岐点です。

デポジットの扱い

レゾナンスのデポジット1,000円〜は解約時に返金されると公式に記載があります。返ってくる金なので、上の総額には入れていません。ただし契約時には実際に出ていくので、手元の現金で見るなら18,380円を想定してください。

やめるときに捨てる金

もうひとつ、比較記事があまり書かない軸があります。合わなかったときに、いくら捨てることになるかです。

バーチャルオフィスは、使ってみないと分からない部分が残ります。郵便の転送がどれくらい遅れるか、問い合わせの返事が来るか、登記後に取引先から住所を調べられたときに何が出てくるか。これらは契約前には確かめられません。そして登記住所を変えるには、法務局への変更登記(登録免許税3万円、管轄が変わる場合は6万円)がかかります。バーチャルオフィス選びの失敗は、月額ではなく登記のやり直しコストで効いてくるということです。

だとすれば、最初の数ヶ月は「試用期間」と割り切って、降りやすさを優先する選び方が成立します。

3ヶ月で合わないと分かった場合に、戻ってこない金額。保証金は返金されるので含めない。
サービス3ヶ月分の月額戻らない入会金捨てる合計
GMOオフィスサポート 4,950円 0円 4,950円
レゾナンス 2,970円 5,500円 8,470円
DMMバーチャルオフィス 7,590円 5,500円 13,090円
Karigo 14,100円 5,500円 19,600円

3ヶ月で撤退する場合、GMOオフィスサポートは4,950円しか捨てません。レゾナンスは8,470円。差は3,520円です。1年使えばレゾナンスが安く、3ヶ月でやめるならGMOオフィスサポートが安い。どちらが正解かは、続ける確信がどれだけあるかで決まります。

実務上の順番

登記する住所を決めるのは、定款を作る前です。ここで迷って止まると設立全体が止まります。確信が持てないなら、入会金0円のところで始めて、事業が固まってから乗り換えるほうが、決めきれずに止まるより早く進みます。ただし前述の通り、登記後の住所変更には登録免許税がかかるので、乗り換えるなら登記前に。

前提を外すと答えが変わる:月0円で登記できる住所

ここまでの比較は「東京(または主要都市)の住所を借りる」という前提で組んでいます。この前提を外すと、金額の桁が変わります。

一般社団法人和文化推進協会が運営する京都すざくスタジオ(0円バーチャルオフィス)は、公式サイト上で「副業・起業支援プラン」を月額0円と明示しています。通常プランでも公式表記は月額500円(税別)。そして公式のよくある質問に「はい、法人登記も可能です」と書かれています。

公式サイトの記載より(2026年9月21日確認)。東京4社とは住所の条件が違うため、上の表には混ぜていません。
項目記載内容
月額0円(副業・起業支援プラン)/公式表記は月額500円(税別)(通常プラン)
法人登記可能。法人の場合は代表権を持つ人が契約者になる必要があると明記
住所〒600-8846 京都府京都市下京区朱雀宝蔵町44番地 協栄ビル2階
郵便物週1回、1週間分をまとめて転送。受取時にLINEで通知され、転送か廃棄を選べる
電話着信を録音し、その音声データをLINEで転送(集合ダイヤル方式)
運営一般社団法人和文化推進協会(非営利法人)

なぜ0円で成立するのか。運営が非営利法人で、京都市内への企業誘致を目的に提供しているためです。営利目的のバーチャルオフィス事業者とは原資が違う、という構造になっています。

公式サイトに書かれていないこと

初期費用郵便転送の実費0円プランの適用条件解約条件については、公式ページに記載が見当たりませんでした。とくに0円プランがどういう条件で適用されるのかが公開されていないため、申し込み前に直接確認してください。料金が0円であることと、誰でも0円で使えることは別の話です。

使える場面ははっきりしています。取引先や顧客が住所を見て判断しない事業――受託開発、オンライン完結のサービス、副業として始める段階の法人なら、東京の住所に年間2万円払う理由はあまりありません。逆に、都心の住所そのものが信用の一部になる業種(コンサルティング、士業、対面営業がある事業)では、京都の住所は選びにくい。ここは金額ではなく事業の性質で決まります。

住所が東京でなくてよいなら

月額0円で登記できる住所は、少なくとも公式サイト上は実在します。条件を直接確認する価値はあります。

京都すざくスタジオの条件を見る

条件別、どれを選ぶか

1年以上続ける前提で、都内の住所でいい
レゾナンス(バーチャルオフィスコース 990円)

登記できるプランの月額が4社で最安。初年度総額17,380円も最安です。浜松町・青山・銀座・渋谷など14拠点から選べます。入会金5,500円は9ヶ月目までに月額差で回収できます。

このサイトの運営者が関与する法人2社が、実際にここの住所で登記しています。4社のうち中身を知っているのはここだけです。

続けるか分からない/とりあえず登記だけ先に進めたい
GMOオフィスサポート(月1転送 1,650円)

入会金0円・保証金0円で、やめるときに捨てる金がありません。拠点も22ヶ所と最多。8ヶ月以内に撤退する可能性があるなら、総額でもこちらが安くなります。

地方都市の住所が必要
Karigo(ホワイトプラン 4,700円〜)

全国60拠点以上。他3社は主要都市に限られるため、それ以外の地域の住所が要るなら実質的に選択肢がここしかないことがあります。ただし月額は他社の3〜5倍で、都内の住所でよいなら割高です。

Karigoの拠点を確認する

住所が東京でなくてよく、固定費を限界まで落としたい
京都すざくスタジオ(0円バーチャルオフィス)(0円)

非営利法人が京都市への企業誘致として提供しているため、月額0円のプランがあります。法人登記も可能と公式に明記。ただし住所は京都市で、0円プランの適用条件は公開されていないため事前確認が必要です。

沖縄・仙台の住所、または運営の知名度を重視
DMMバーチャルオフィス(ベーシック 年間契約2,530円)

沖縄と仙台は他3社にない拠点です。ただし登記できるのはベーシックプランのみで、年間契約の一括前払いが前提。単月契約だと5,500円まで上がります。

最安を取るなら

1年続ける前提ならレゾナンス。登記できる最安の月990円で、初年度17,380円です。

レゾナンス公式で料金を確認する

入会金0円キャンペーンの適用条件は時期によって変わります。申し込み前に公式ページで現在の条件を確認してください。

4社のうち、実際に使っているのは1社だけです

比較表は公開情報だけで作れますが、使ってみないと分からないことは残ります。そこを混ぜると表全体が信用できなくなるので、分けて書きます。

このサイトの運営者が関与する法人2社は、レゾナンスの住所で登記しています。そのうえで言えることは2つです。

逆に、残り3社については公開情報しか持っていません。GMOオフィスサポート・DMMバーチャルオフィス・Karigoの評価は、公式サイトに書かれている条件を並べたものであって、使った感想ではありません。この記事で「使ってみた」と読める書き方をしていないのはそのためです。

公式サイトに書かれていないこと

比較表を作る過程で、公式の料金ページだけでは埋まらなかった項目があります。ここは推測で埋めず、そのまま書いておきます。

また、バーチャルオフィスの住所では取得できない許認可があります。宅地建物取引業免許は事務所の実体が要件のため取得できません。古物商や人材派遣業も、実体のある事務所を求められて断られることがあります。これらの事業を予定しているなら、そもそもバーチャルオフィスは選択肢から外れます。

まとめ

出典

  1. レゾナンス 公式サイト ― https://virtualoffice-resonance.jp/(2026年9月21日確認)
  2. GMOオフィスサポート 公式サイト ― https://www.gmo-office.com/(2026年9月21日確認)
  3. DMMバーチャルオフィス 公式サイト ― https://virtualoffice.dmm.com/(2026年9月21日確認)
  4. Karigo 公式サイト ― https://karigo.net/(2026年9月21日確認)
  5. DMMバーチャルオフィス 公式FAQ「バーチャルオフィスに関して」(2026年9月21日確認)
  6. 京都すざくスタジオ(0円バーチャルオフィス) 公式サイト ― https://studio.suzaku.or.jp/(2026年9月21日確認)
  7. 登録免許税の額は登録免許税法別表第一による(本店移転 1件につき3万円、管轄外への移転は新旧各3万円)