合同会社から株式会社への変更(組織変更)の手続きと費用

合同会社で事業を始めたあと、取引先への信用や資金調達を理由に株式会社へ変えたくなることがある。会社をいったん解散して作り直すのではなく、法人格を保ったまま会社の種類を変える「組織変更」という手続きがある。この記事では、組織変更の流れ、債権者保護のための公告、かかる費用、最初から株式会社にする場合との違いを整理する。
組織変更は会社を作り直すことではない
組織変更は、いまの会社の法人格をそのまま残して、会社の種類だけを変える手続きである。合同会社から株式会社へ変える場合、会社を解散して新しく株式会社を設立するわけではない。同じ法人が、合同会社から株式会社になる(会社法第747条)。
法人格が続くため、会社が結んでいる契約や取引先との関係は、原則としてそのまま引き継がれる。会社の設立日や取得済みの資産もそのまま残る。変わるのは会社の種類と、それに伴う商号(「合同会社」の部分が「株式会社」になる)や、出資者・機関の呼び方である。
合同会社と株式会社で、設立の費用や運営のルールがどう違うかは合同会社と株式会社の違いで整理している。
手続きは計画・同意・公告・登記の順で進む
組織変更は、おおまかに次の順で進む。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 組織変更計画を作成する(効力発生日や、株式会社になった後の商号・役員などを定める) |
| 2 | 総社員の同意を得る(会社法第781条第1項) |
| 3 | 債権者保護の手続きをする(官報公告と、知れている債権者への催告) |
| 4 | 効力発生日に株式会社となり、登記を申請する |
合同会社の意思決定は社員が行うため、組織変更計画には総社員の同意が必要になる(会社法第781条第1項、定款に別段の定めがある場合を除く)。社員が代表者ひとりのひとり法人であれば、その本人の同意になる。
効力発生日になると、会社は株式会社になる(会社法第747条)。そのうえで、効力が生じた日から2週間以内に、合同会社については解散の登記を、株式会社については設立の登記を申請する(会社法第920条)。
債権者保護の公告に1か月以上かかる
組織変更では、債権者が異議を述べる機会を設けなければならない。具体的には、組織変更をする旨などを官報に公告し、知れている債権者には個別に催告する。この異議を述べられる期間は、1か月を下ることができない(会社法第781条第2項、第779条第2項)。
この手続きは省略できない。思い立ってから登記まで、最短でも公告の1か月に加えて、計画の作成や登記の準備の時間がかかる。設立の登記のように短い期間で終わる手続きではないため、株式会社でなければならない予定(出資を受ける日など)が決まっているなら、日程に余裕をもって逆算する。
費用は解散登記と設立登記の登録免許税と公告の掲載料
組織変更の費用は、主に登記にかかる登録免許税と、官報公告の掲載料である。登記は、合同会社の解散登記と株式会社の設立登記の2つを同時に申請するため、登録免許税もそれぞれにかかる。
株式会社の設立登記分の登録免許税は資本金の額によって変わる。具体的な金額は会社設立の費用は結局いくらかで、設立費用とあわせて確認できる。登記を自分で行うか、司法書士に依頼するかでも総額は変わる。
最初から株式会社にするか、あとから変えるか
費用の面だけを見ると、合同会社で安く設立してからあとで組織変更するほうが、最初から株式会社を設立するより総額を抑えられる場合がある。設立費用の差については会社設立の費用で比較できる。
ただし、組織変更には債権者保護の公告期間があるため、時間がかかる。出資を受ける日や、取引先が株式会社であることを条件にしている契約の期日が決まっているなら、間に合わないことがある。金額ではなく日程が問題になる場面では、最初から株式会社で設立するほうが確実である。
どちらを選ぶかは、当面の費用を抑えたいか、将来の資金調達や信用を早く整えたいかで分かれる。会社の形そのものの違いは合同会社と株式会社の違い、本店の住所を自宅以外にするかどうかはバーチャルオフィス比較で確認できる。
よくある質問
合同会社から株式会社への組織変更で、会社の設立日は変わりますか。
変わらない。組織変更は法人格を残したまま会社の種類を変える手続きで、会社を設立し直すわけではないためである。登記のうえでは組織変更前の合同会社について解散の登記をするが、法人としては同じ会社が続く。
組織変更にはどれくらいの期間がかかりますか。
債権者が異議を述べられる期間として、官報公告から1か月以上を置く必要がある(会社法第781条第2項、第779条第2項)。この期間は省略できないため、計画の作成や登記の準備とあわせて、少なくとも1か月以上を見込む。
株式会社から合同会社へ変えることもできますか。
できる。組織変更は双方向の手続きで、株式会社から合同会社への変更も可能である。この場合も組織変更計画の作成と債権者保護の手続きが必要になる。
組織変更をすると、取引先との契約や許認可は引き継がれますか。
法人格が続くため、契約や資産は原則としてそのまま引き継がれる。ただし許認可によっては、会社の種類の変更を届け出る必要があるものや、個別の確認が要るものがある。所管の窓口で確認する。
次に読む
広告の最安プランは5社で登記に使えません。登記できるプランだけを並べています
10社の日数・審査・支払い方法・解約条件。3社は公式サイトの中で日数が食い違っています
年払いは実質1年の縛りになりやすく、途中解約で前納分が戻らない事業者も。最低利用期間と自動更新の確認先
市区ごとに使える事業者と、主要な区は法務局・公証役場・税務署の窓口も
法定費用は60,000円から約242,000円。初年度に会社から出ていく総額も出しています
登記できる住所の最安と、合同会社・電子定款、日程、設立後の費用を1枚に束ねています