最終更新 2026/09/22 掲載サービス 13(バーチャルオフィス8件(比較7社+京都の0円1件)・会計ソフト3件・銀行2件) 料金確認日 09/21〜09/22 更新履歴

資本金・株式・決算期をいくつにするか|設立時に決めて、あとで直すと金がかかるもの

資本金は1円でも会社を作れます。ただし額によって消費税の免税判定、法人住民税の均等割、許認可の要件、登録免許税が変わります。株式の設計と決算期も、定款を作る段階で決めるものです。あとから変えるには定款変更と変更登記が要り、登録免許税が1件30,000円かかります。設立時に決めておくと後で払わずに済む項目をまとめます。

会社法・消費税法・地方税法・登録免許税法の記載を2026年9月22日に確認/個別の会社でどの区分に当たるかは、資本金を決める前に税理士に確認してください

資本金の額で変わる5つの境目

資本金の額が影響する制度。「資本金」と「資本金等の額」は別の概念で、制度ごとに判定に使う数字が違います。
境目制度超えると何が起きるか判定に使う数字
100万円定款認証手数料資本金100万円未満で3条件を満たすと15,000円。100万円ちょうどで40,000円に上がり、25,000円増えます定款に記載した資本金の額
300万円定款認証手数料300万円以上で50,000円同上
最重要1,000万円消費税資本金1,000万円以上だと、設立1期目から消費税の納税義務があります(新設法人の特例・消費税法第12条の2)。1,000万円未満なら1期目・2期目が免税になる可能性があります事業年度開始の日の資本金の額
1,000万円法人住民税の均等割資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下が最低区分で年70,000円(標準税率)。超えると区分が上がります資本金等の額(資本金+資本準備金など)
2,142.857万円前後登録免許税株式会社は資本金の1000分の7が150,000円を超えるところから、税額が増えます(合同会社は約857.143万円)資本金の額
均等割だけは「資本金等の額」で判定する

均等割に課税標準はなく、税率の区分を決める基準が「資本金等の額」です(地方税法第52条・第312条)。資本金を900万円にして資本準備金を200万円積むと、資本金は1,000万円未満でも資本金等の額は1,100万円になり、均等割の区分が上がることがあります。消費税の判定は資本金の額なので、同じ会社でも2つの制度で答えが分かれます。

払込額の半分を資本準備金にできる

会社法第445条第2項は、払込みまたは給付に係る額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができると定めています。同条第3項により、計上しなかった額は資本準備金になります。

たとえば1,000万円を払い込む場合、資本金500万円・資本準備金500万円にできます。この場合、新設法人の特例(消費税法第12条の2)の判定に使う資本金の額は500万円なので、1,000万円以上という条件には当たりません。ただし特定新規設立法人(同法第12条の3)と特定期間(同法第9条の2)の判定は別に残るため、これだけで免税が確定するわけではありません。資本金の額を決める前に税理士に確認してください。

1,000万円を払い込む場合の2通り。判定に使う数字が制度ごとに違うため、同じ払込額でも結果が変わります。
項目全額を資本金にする半分を資本準備金にする
資本金1,000万円500万円
資本準備金0円500万円
消費税(1期目)課税事業者資本金1,000万円以上免税の可能性他の要件を満たす場合
均等割の判定資本金等の額 1,000万円資本金等の額 1,000万円準備金も含むため変わりません
登録免許税150,000円1000分の7が15万円以下150,000円

資本準備金は資本金より取り崩しの手続きが軽いという違いもあります。ただし準備金に振り替えても会社に入る現金は同じ1,000万円です。対外的に見える資本金の額だけが小さくなります。

資本金の額が要件になる業種

許認可のなかには、資本金の額そのものが要件になっているものがあります。1円で設立してから許可を取ろうとすると、増資が必要になります。

有料職業紹介事業
基準資産額が事業所ごとに500万円以上であることなどが要件です。
労働者派遣事業
基準資産額が事業所ごとに2,000万円以上、現金・預金が1,500万円以上などの財産的基礎要件があります。
建設業(一般建設業)
自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があることなどが要件です。
旅行業
登録の種別ごとに基準資産額が定められています。

いずれも資本金そのものではなく基準資産額や自己資本で判定するため、資本金を積めば必ず満たすとは限りません。許認可が要る事業をやる予定があるなら、資本金を決める前に所管の窓口で要件を確認してください。

あとから増やす費用

増資は資本金の額の変更なので、変更登記が必要です。登録免許税は増加した資本金の額の1000分の7で、これが30,000円に満たないときは30,000円です(登録免許税法別表第一第24号(一)ニ)。

増資した場合の登録免許税。司法書士に依頼する場合はその報酬が別にかかります。
増加する資本金登録免許税計算
100万円30,000円1000分の7=7,000円だが最低額の30,000円
500万円35,000円500万円×0.7%
5,000万円350,000円5,000万円×0.7%
10,000万円700,000円1億円×0.7%

1億円を調達して全額を資本金にすると700,000円、会社法第445条第2項を使って半分を資本準備金にすると350,000円です。差は350,000円になります。

株式の設計

株式会社のみの論点です。定款で決めるもので、あとから変えるには株主総会の特別決議と変更登記(登録免許税30,000円)が要ります。

発行可能株式総数
会社が発行できる株式の上限です。設立時発行株式の総数は、この4分の1を下ることができません(会社法第37条第3項)。ただし公開会社でない場合はこの制限が適用されません(同項ただし書)。株式に譲渡制限を付ける非公開会社なら、最初から大きく設定しておけます。小さくすると、増資のたびに定款変更と変更登記が必要になります。
1株あたりの金額
資本金100万円を100株にすると1株1万円です。この単位が大きいと、後から株式を分割したり一部を譲渡したりするときに端数が出ます。株数を多めに(1株を小さく)しておくと、あとの調整がしやすくなります。
株式の譲渡制限
譲渡に会社の承認を要する定めです。付けると非公開会社になり、取締役の任期を定款で最長10年にできます。付けない場合の任期は「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」(会社法第332条第1項)で、実際は約2年3か月ごとに重任登記(登録免許税10,000円/資本金1億円以下)が発生します。
種類株式
設立時に入れる必要はありませんが、あとから入れるには定款変更(特別決議)が要ります。発行可能株式総数の枠と同様、必要になってから動かすと時間がかかる項目です。

決算期の決め方

事業年度は定款で定めます。設立日から最も遠い月末にすると1期目が最長になりますが、消費税の免税を2期取れるかどうかは逆に短いほうが有利になる場合があります。

1期目を7か月以下にすると、2期目の判定がなくなる

基準期間がない2期目でも、特定期間(前事業年度開始の日以後6か月)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります(消費税法第9条の2第1項)。給与等の支払額で判定することもできます(同条第3項)。

ただし前事業年度が7か月以下の場合は「短期事業年度」に当たり、この判定に使う特定期間がそもそも生じません(同条第4項第2号)。1期目を7か月以下にすると、2期目は特定期間の判定を受けずに免税になる可能性が高くなります。1期目を12か月に伸ばして1期分の免税を最大化するか、1期目を7か月以下にして2期分の免税を取りにいくかは、初年度の売上見込みで逆転します。

どちらが有利かは金額で決まるため、決算期を定款に書く前に税理士に確認してください。資本金1,000万円以上なら1期目から課税事業者になるので、この判断自体が生じません。

共同創業者がいる場合に、設立時にしか決められないこと

発起人が2名以上いる場合、誰が何株を持つかを設立時に決めます。持株比率は、あとから合意を取り直すのが難しい項目です。

会社法が定める議決権の割合と、そこで何ができるか。設立時の持株比率がそのまま適用されます。
議決権の割合できること根拠
3分の2以上定款変更、合併、事業譲渡などの特別決議を単独で通せる(条文は「出席した株主の議決権の三分の二以上」)会社法第309条第2項
2分の1超取締役の選任・解任、計算書類の承認などの普通決議を単独で通せる会社法第309条第1項
3分の1超特別決議を単独で阻止できる同第309条第2項の裏返し
ちょうど2分の1ずつどちらも普通決議を通せません。意見が割れると取締役の選任すらできず、会社の意思決定が止まります
50対50は作らない

2人で等分すると、対立したときにどちらも決議を通せません。取締役の選任も解任もできず、定款変更もできない状態になります。持株比率は設立時に決めておく項目です。

共同創業者が途中で離脱したときに株式をどう扱うかの取り決め(創業株主間契約)も、設立時に結ぶものです。事業が動き始めてから持ちかけると、相手にとっては一方的に不利な提案になります。この契約の内容は会社法の条文だけでは決まらないため、弁護士に相談してください。

出典

  1. 会社法第37条(発行可能株式総数の定め等)・第309条(株主総会の決議)・第445条第2項第3項(資本金の額及び準備金の額) ― e-Gov 会社法
  2. 消費税法第12条の2(新設法人の納税義務の免除の特例)・第12条の3(特定新規設立法人の納税義務の免除の特例) ― e-Gov 消費税法
  3. 地方税法第52条(道府県民税の均等割)・第312条(市町村民税の均等割)。課税標準は「資本金等の額」 ― e-Gov 地方税法
  4. 登録免許税法 別表第一第24号(一)ニ(資本金の増加 1000分の7、最低30,000円)・カ(役員変更 資本金1億円以下は10,000円) ― e-Gov 登録免許税法
  5. 公証人手数料令第35条(定款の認証の手数料) ― e-Gov 公証人手数料令