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最終更新 2026/10/25 掲載サービス 16件(バーチャルオフィス11件(比較10社+京都の0円1件)・会計ソフト3件・銀行2件) 料金確認日 09/21〜10/10 更新履歴

法人成りで個人事業の資産を引き継ぐ方法|売買・現物出資・賃貸借

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個人事業主が会社をつくって事業を移す法人成りでは、それまで使ってきた資産や取引先との契約が、会社に自動で引き継がれるわけではない。個人と会社は別の人格なので、事業用の資産は売買・現物出資・賃貸借のいずれかで会社へ移し、契約や許認可は会社の名義で結び直す。個人の側では廃業の届出と、その年の確定申告も必要になる。この記事では、法人成りで資産と取引をどう引き継ぐかを整理する。

個人事業と会社は別の人格なので、資産も契約も自動では移らない

法人成りは、個人として続けてきた事業を、新しく設立した会社に移すことをいう。ここで見落とされやすいのが、個人と会社は法律上まったく別の人格だという点である。個人の名義で持っている在庫・備品・車・不動産などの事業用資産や、取引先・金融機関と結んだ契約は、会社を設立しただけでは会社のものにならない。移したい資産や契約を、ひとつずつ会社へ引き継ぐ手続きがいる。

合同会社を株式会社に変える組織変更では法人格がそのまま続くため契約や資産が原則として引き継がれるが、法人成りは個人から別人格の会社への移転なので事情が異なる。そもそも法人にする価値があるかどうかは見込める利益によって変わるため、先に個人事業主とひとり法人の損益分岐や、動くタイミングを整理した個人事業主が法人化するタイミングも確認しておきたい。

資産を会社へ移す方法は、売買・現物出資・賃貸借の3つ

個人の事業用資産を会社へ移す方法は、大きく3つある。会社が個人から時価で買い取る「売買」、資産を出資して株式や持分を受け取る「現物出資」、所有権は個人に残したまま会社へ貸す「賃貸借」である。どれを選ぶかは、資産の種類と、会社に買い取る資金があるかどうかで変わる。

方法向く資産・場面気をつける点
売買(譲渡)在庫・備品・車など。手続きが分かりやすい会社に買い取る資金がいる。個人側で譲渡所得や事業所得、消費税が生じることがある
現物出資現金を用意せず資産で資本を増やしたいとき定款への記載がいり、価額によっては検査役の調査がいる(次の見出し)
賃貸借自宅兼事務所や所有不動産など、所有権を移したくない資産名義は個人のまま。会社は賃料を費用に、個人は不動産所得などになる

売買で移した資産は、会社が買い取った価額を取得価額として新たに減価償却する。中古の資産は耐用年数が短くなる計算があり、車を会社名義にする場合の扱いは社用車で整理している。移転にあわせて個人側で消費税が生じるかどうかは、個人が課税事業者だったかに関わる。消費税の節目の考え方は法人化のタイミングで扱っている。

現物出資は、価額が500万円を超えると検査役の調査がいる

現物出資は、金銭以外の財産を出資して株式や持分を受け取る方法で、出資する財産とその価額を定款に記載しなければ効力を生じない(会社法第28条第1号)。原則として、記載した価額が妥当かを確かめるため、裁判所が選ぶ検査役の調査を受ける必要がある。これには手間と費用がかかる。

ただし、現物出資する財産等の価額の総額が500万円を超えない場合は、検査役の調査がいらない(会社法第33条第10項第1号)。市場価格のある有価証券で定款の価額がその価格以下のときや、価額について弁護士・税理士などの証明を受けたときも、調査を省ける。少額の資産を現物出資するひとり法人の法人成りでは、この500万円の範囲に収まることが多い。

価額を実際より高く付けると、不足する額を支払う責任が生じることがあるため、価額は時価で見積もる。現物出資した財産は資本金(と資本準備金)に組み入れられるため、資本金をいくらにするかの設計ともつながる。資本金の決め方は資本金・株式・決算期をいくつにするかで扱っている。

契約・許認可・借入金は、会社の名義で結び直す

取引先との契約、事務所の賃貸借、リース、保険などは個人が結んだものなので、会社へ自動では移らない。会社の名義で結び直すか、相手の同意を得て引き継ぐ。金融機関からの借入金も同じで、会社が引き受けるには金融機関の承諾がいる。承諾を得て会社が債務を引き受けるか、会社で借り換えることになり、個人の判断だけで会社へ移すことはできない。

許認可も引き継げないことが多い。個人として受けた許可や登録は、会社が改めて取り直すのが原則で、業種によっては事務所の実体が要件になる。どの業種で取り直しが要るかは取れない許認可で整理している。車や不動産を会社へ移す場合は、移転登記や登録による名義変更も必要になる。

個人の側は、廃業の届出とその年の確定申告がいる

事業を会社へ移したら、個人事業は廃業する。税務署には「個人事業の開業・廃業等届出書」を、廃業した事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までに提出する(所得税法第229条)。この届出書の提出期限は、以前は廃業の日から1か月以内とされていたが、2026年(令和8年)1月1日以後は確定申告期限までに改められている。

あわせて、青色申告をやめる場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」、消費税の課税事業者だった場合は「事業廃止届出書」、従業員へ給与を払っていた場合は「給与支払事務所等の廃止届出書」を提出する。廃業した年も、その年の1月1日から廃業の日までの事業の所得について、個人で確定申告をする。会社の側で設立後に出す届出とその期限は設立後に出す届出の一覧と期限にまとめている。

法人成りそのものの費用や、設立の前後に使ったお金の扱いは創立費と開業費の違いで、会社の住所を自宅にしない方法はバーチャルオフィス比較で確認できる。資産の価額の見積もりや消費税の具体的な判断は、税理士など専門家に確認する方法もある。

よくある質問

法人成りすると、個人事業の資産は自動で会社のものになりますか。

ならない。個人と会社は別の人格なので、在庫・備品・車・不動産などは、売買・現物出資・賃貸借のいずれかで会社へ移す手続きがいる。取引先との契約や許認可、借入金も自動では引き継がれない。

資産は売買と現物出資のどちらで移すとよいですか。

会社に買い取る資金があるなら、手続きが分かりやすい売買が使いやすい。現金を使わず資産で資本を増やしたい場合は現物出資になるが、定款への記載がいり、価額の総額が500万円を超えると検査役の調査が必要になる。

個人事業のときの借入金を会社に引き継げますか。

個人の判断だけでは移せない。会社が債務を引き受けるには金融機関の承諾がいる。承諾を得て会社が引き受けるか、会社で借り換える形になる。

廃業の届出はいつまでに出しますか。

「個人事業の開業・廃業等届出書」を、廃業した事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までに税務署へ提出する(所得税法第229条)。2026年1月1日以後はこの期限で、それより前の「廃業日から1か月以内」から改められている。

この記事を書いた人

株式会社Retraite(当サイト運営) ひとり法人を実際に運営している事業者です。個人名は公開していません。掲載内容は公式サイト・公式FAQ・法令の条文を確認日つきで引いて作成しています(編集方針)。

そのため、個別の税務判断や法律判断は書きません。制度の仕組み・金額・期限・手続きの順番までを、公式ページと法令だけを引いて整理しています。条文を引くときは e-Gov 法令検索の原文に当たり、条番号まで書きます。

比較記事に出てくるサービスのうち、実際に使っているのはバーチャルオフィス1社(レゾナンス)と法人口座1行だけです。使っているからといって順位を上げてはいません(レゾナンスは料金順で3位のまま)。→ 実際に使っているサービス/編集方針とデータ品質

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